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被災地に作られた農園に敷かれた太陽光パネルの下に立つ、地域新電力「陸前高田しみんエネルギー」の小出浩平社長=2022年11月19日、陸前高田市
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 エネルギーの地産地消などをうたって立ち上げられた「地域新電力」が、苦境に陥っている。電力価格高騰のあおりを受け、事業停止や廃止も懸念される。地域振興や脱炭素の担い手となる地域新電力は生き残れるのか。

 岩手県陸前高田市の中心部を、緑とオレンジの小型電動バスがゆっくりと走る。

 委託を受けて運行するのは地域新電力「陸前高田しみんエネルギー」だ。

 陸前高田市は、2011年の東日本大震災で、高さ17メートルを超す津波に襲われ、全世帯の約半数が全半壊した。死者・行方不明者約1700人は県内で最も多い。

 避難した人たちは長期間、電気のない生活を強いられ、災害時の電力確保やエネルギーの自立の必要性を肌身に感じた。

 しみんエネルギーは19年6月、地元企業などと市が共同で設立した。市は10%出資している。電力供給だけでなく、電動バスのような住民サービス、地元の木質バイオマスを使ったまきストーブの導入にも取り組んでいる。収益から市民グループに数百万円の助成金も出した。新たに9人の雇用も生まれ、復興の象徴ともいえる。

 市のほぼすべての公共施設や地元企業など約30社に電力を供給してきた。

 それが、2年前の冬、電力市場価格の急騰で状況が変わった。

 電気の多くは卸電力市場や商社から調達していたが、仕入れ価格が販売価格を上回る「逆ざや」となり、昨年度は約7千万円の赤字になった。

 16年の電力小売り全面自由化により、各地域の大手電力10社以外も、家庭や企業に電力が販売できるようになった。これ以降、他業種から参入したのが「新電力」だ。

 しかし、自前の電源の割合は少なく、不足分を卸電力市場から調達している。地元で作った再生可能エネルギーの電気があっても、電力固定価格買い取り(FIT)制度で市場に売る契約が残っており、市場価格で買い戻している。ただ、ここ数年の電力価格高騰で、仕入れ価格が販売価格の10倍になることもあった。

 資源エネルギー庁によると、9月末時点の新電力の登録数は732社。順調に増えていたが、今年に入って初めて減少に転じ、小売り事業を休廃止した新電力は98社に上る。

 地域新電力は、新電力全体の1割強だ。このうち、塩尻市森林公社(長野県塩尻市)と加賀新電力(石川県加賀市)が電力小売りを休止した。かづのパワー(秋田県鹿角市)は一度は休止したものの、再開した。

 地域新電力が撤退すれば、契約者はほかの新電力や大手電力とあらたに契約を結ぶ必要があり、料金は上がる可能性がある。それ以上に、地域のエネルギー自立や地域振興にとって大きな痛手となる。

 電力高騰の影響を探ろうと、再エネの導入拡大に取り組む環境NGOでつくる「パワーシフト・キャンペーン」と朝日新聞は、地域新電力89社を対象に今年8~10月、アンケートを行った(72社が回答)。

 市場価格の高騰が続くことについて尋ねると、「甚大な影響で経営継続に影響を与えうる」(18社)、「影響があるが、経営は継続の方向」(44社)と答えた。対策として、8割が「新規受け付けや営業を停止」しており、7割が「料金の値上げを実施または検討」していた。

「せっかく育てた地産地消のエネルギー」

 陸前高田しみんエネルギーは、「経営継続に影響を与えうる」と答えた1社だ。同社も電気料金を、1年前の1キロワット時約30円から約40円に上げた。

 しかし、昨秋、値上げを説明するために顧客を回った小出浩平社長(58)は逆に励まされた。

 しょうゆやみそなどの醸造業…

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